ボルゲリの奇跡
フィレンツェから車で約2時間、ティレニア海と山に挟まれた小村ボルゲリは、かつてマラリアが蔓延する湿地帯で、1900年代初頭の干拓までは居住すら難しい土地だった。しかし1940年代、桃やイチゴが植えられていた農園に初めてカベルネ・ソーヴィニヨンが導入されると、驚くほど高品質なワインが生まれる。温暖な地中海性気候、海風と丘陵の冷涼な風に恵まれたボルゲリは、濃厚さと優美さを併せ持つボルドー品種の理想的な産地として急速に評価を高めていった。その後ガヤら名門も進出し、1983年にはボルゲリD.O.C.が誕生するが、赤ワインは認められず、生産者はヴィーノ・ダ・ターヴォラ(VdT)として造るしかなかった。それでもその味わいは世界を魅了し、「スーパータスカン」と呼ばれ高値で取引される存在となる。1994年にようやく赤ワインが法的に認可されるが、スーパータスカンという概念は今も息づいている。なかでもサッシカイア、ソライアと並ぶ“3大アイア”として頂点に立ち、「ボルゲリの奇跡」と称されるのが偉大なワイナリー、オルネッライアである。