日本人の味覚になじむ注目の産地、ヴィザン
焼けつくほどの日差しに恵まれた南ローヌは、果実感たっぷりのリッチな赤ワインの宝庫である。広大なコート・デュ・ローヌのアペラシオンがよく知られているが、より上質でコストパフォーマンスの高いワインの産地として注目したいのがコード・デュ・ローヌ・ヴィラージュの村々だ。生産エリアは95の村で構成されているが、その中でもより高い優位性が認められた17の村のみがヴィラージュの後ろに村名を表記することが認められている。その代表としてパワフルな味わいのワインを生むケランヌに関心が向けられがちだが、日本人の味覚になじむ旨みを備えているという点、そして豊かな果実を純粋に楽しむという点においては、ヴィザンこそが要注目の産地である。最も早く村名を名乗ることが許されたアペラシオンでもあるヴィザンは、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの北東部に位置する。畑は村の周囲の平地や丘斜面に広がっており、大きな石がゴロゴロと転がる赤い粘土石灰質の土壌とミストラル(乾燥した強い北風)の影響を受けた地中海性気候が、滑らかでジューシーな果実とふくよかさ、そしてフィネスを育む。かつてのローマ法王領であり、テンプル騎士団もワインを造っていたという由緒正しい土地だが、近年元詰めをする生産者は非常に少なく、栽培されたブドウのほとんどは協同組合に買い取られていた。テンプル騎士団の要塞兼農園だったというバスティードも例に漏れず、フランス革命時に敷地の一部が破壊された後はワイン造りが衰退していたが、1989年にボワイエ家の手に渡り復活を遂げる。