その中でも選ぶべきは石がちな斜面に広がる冷涼な北部のテロワールで、特にコート・ロティやコンドリューに隣接する畑だ。より温暖で平野が多くなる中部や南部に比べ、ワインには緊張感やミネラル、エレガンスが備わるからだ。テロワールの優位性に加え、その表現に優れた造り手が生み出すワイン、それこそが真にコスト・パフォーマンスに優れた見逃すことの出来ないワインと言えるだろう。そしてドメーヌ・シャンベイロンは見事にこの2つを兼ね備えている。
ワイナリーの目指すスタイルは「フィネスとフレッシュさ」。畑は全て手作業、リュット・レゾネで栽培し、殺虫剤は使わない。シラーの醸造では穏やかな抽出を心掛け、コンクリートタンクを用い発酵。熟成はバリックだが果実味を隠さないようキュヴェによっては新樽を控える。ヴィオニエはステンレスタンクをメインに使用しているが、フレッシュさと微小酸素の供給を目的として2022ヴィンテージよりコンドリューにのみアンフォラの使用も始めている。通常酸が低くなりがちな品種だが、シャンベイロンの畑は石灰を含むため、華やかなアロマがありながら十分な酸が保持され、そのバランスを取る為マロラクティック発酵も行っている。ボリュームと香りだけでなくしっかりとしたミネラルがあるシャンベイロンのヴィオニエは、他とは一線を画すガストロノミーなワインとなる。2010年にドメーヌを引き継いだマシューはまだ若く他のワイナリーでの修行経験はないが、近年、生産するワインはWine Advocate、Vinous、JRなど評価各誌で高得点を獲得、2018年にはDecanterで白・赤ともにシャーヴやシャプティエ、ギガルらと並び「北ローヌの最上生産者」「北ローヌのトップワイン」にも選出されている。実力、知名度ともに確実に高まっている北ローヌの隠れた優良生産者に世界中から注目が集まっている。